おふくろ

拝啓お袋元気ですか。幼い頃から何時も一緒に生きて来て貴女は私に本気怒ったことか゛無かった気が今になってふっと思う時があります。昔から病に苦しんでいた私に仕事を休み乍らも大学病院をあちこち廻り一生懸命世話してくれ私の成長を見守って行く中で途中私が悪さをし逮捕されたときも必ず黙って警察まで足を運んでくれ私が刑務所を出所する雨の降る早朝に傘と杖を持っている貴女の姿は一生忘れることは出来ない。また私が某刑務所に入る前までは一緒に暮らし出所した時には貴方は居なかった。高齢者による痴呆症により老人ホ=ムに入所したことを私が知り一番に面会に訪ねたらあれ程迷惑心配をかけてた私の顔を名前すら覚えていないことに私はびっくりする帰り際一人車の中で何故か目に涙が出てくるのがとまらなかった。今思えば貴女は私とは違う世界で違う環境にて一生懸命いきすすんで居ることでしょう。何時も私のそばに居てくれてた貴女と同じ世界に居ても貴女は貴女なりの世界を持ちうけたのだからそこで残りの人生を目一杯楽しんで貰いたい思いである。貴女には今まで散々と苦労の掛けっぱなしだったが今はそれすら貴女は覚えていない。都合か良いと思われるが今の貴女は昔のことはすべて忘れて今現在を十分満喫して生きてくれるだけで私としては此の上ない喜びとして感じて生きたい。貴女は必ず長生きします。だから今の貴女の世界で貴方なりの毎日笑顔の絶えない生活をして貰いたい。貴女は必ず長生きします。だから今の貴方の世界で彼方なりの毎日笑顔の耐えない生活をしてもらいたい。暇が出来たら又会いに行くのであなたの自分の子供の名前と顔くらいは覚えてほしい。今までの私の迷惑彼方の困り果てた顔や姿が今の私の脳裏にしっかりと焼きついているので彼方が抱えていた苦労の面影は私が全て受け継ぐので貴女の過去の思いは全て消し去り此の先を生きてくれるだけで私としては心が安らぐ中で貴女のことは何時までも私の魂の中に焼き付けて生きたいと思う。貴女が天国へ旅立つ姿は決して見たくは無いがあなたのことは最後まで私が見守ります。あなたの死に水は私が必ず取ります。其れまでは何が何でも今の此の厳しい世の中を懸命に頑張って生きていくので貴女にはめいいっぱい余生をを楽しんで貰いたい。万が一貴女より私の方が先に天国に旅立った時にはどうか許して貰いたい。お袋今まで本当にお疲れ様そして心から有難うと言いたい。 s.nakamura